“色を二次元的な仕上げではなく、三次元空間を形作る一番大事な要素として捉える。
色を空間の中の三次元的なレイヤーとして考え、このレイヤーを配置し、重ねることで空間そのものを構成していく。”
エマニュエル・ムホー
shikiri / see beyond colors、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展、2014年
「色切/shikiri」は、私が2003年に確立し名付けた、色を三次元的な要素として捉え、色で空間を仕切り、色で空間をつくる独自のコンセプトである。
1995年、学生の頃に初めて東京を訪れたとき、街中に溢れる「色」に衝撃を受けた。ボリュームの異なる建物、そのスキマに切り取られた空、看板、電線など、街はさまざまなレイヤーで構成され、その中で溢れ出しそうな無数の色が幾重にも重なり合い、複雑な奥行きをつくっていた。
その光景に強く心を動かされ、その場で東京に移り住むことを決意した。フランス国家建築家免許を取得した翌1996年、ボルドーを離れ、東京で暮らし始めた。
この体験は、私の色に対する考え方を根本から変え、2003年に「色切/shikiri」というコンセプトへとつながった。
「色切/shikiri」は、「色(しき)」と「仕切り(しきり)」を組み合わせて生まれた造語である。色で空間を仕切る。色で空間をつくる。という私の考えを表している。
色を二次元的な仕上げとして用いるのではなく、三次元空間を形作る要素として、レイヤーのように空間の中に配置し、空間そのものをつくっていく。
「色切/shikiri」は、日本の伝統的な間仕切りから着想を得た「面」の構成から始まり、徐々に細く姿を変え、「線」の構成へと展開した。さらに色の形の探求は、花、枝、棘など自然から生まれた形や、文字、数字、シルエットなどへと広がっていった。eda(2010)の枝のような三次元モジュール、bloom bloom bloom(2012)の花のような要素が連なる空間、そして数千の数字が空間を満たす 100 colors no.18「数字の森」(2017)などは、その探求の展開を示している。
色の形を追求することは、小さなアート作品から建築まで、異なるスケールの間を行き来する旅のように続いている。
事務所設立10周年を迎えた2013年、東京で最初の 100 colors を発表した。100色の圧倒的な存在感によって、初めて東京の色とレイヤーに出会ったときの感動を表現した作品である。
この作品を起点に、100 colorsは同じ100色を共通の色彩言語とするクロマティック・システムとして、インスタレーションをはじめ、さまざまな形で世界へと展開している。
私は色を通してエモーションを与えたい。
建築であっても、アートであっても、作品を通して人々に色を見て、触れて、身体全体と感覚で色を感じてほしいと願っている。
色は空間をつくる。そして、エモーションをつくる。
色切/shikiri
emmanuelle moureaux
2003
100 colors no.18「数字の森」、国立新美術館、東京、2017年